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人物評価を行う際、ベースとなるのは「立てた目標に対してどの程度達成したか」と「その人物の職域の中で、どの程度の能力を発揮したか」という2つの要素で判断します。従ってまずやるべきことは、期間内(1年単位が主流)にどの程度の目標を設定するか、ということになります。
人事評価は2つの項目で判断する
ここで注意すべきは、「立てた目標を安易に変更しない」ということです。様々な要因で目標の早期達成や大幅な未達が発生することもあります。仮にそれが発生したとしても、そこに至る経緯も考慮し人事評価は行わなければなりません。それを踏まえた上で、人物評価の書き方をご説明します。
冒頭でお話しした通り、人事評価は「目標達成度」と「能力評価」の2つが基本です。ここでは1年単位で評価すると仮定して話を進めますが、まず年度が始まる前に目標の設定を行います。書き方としては、ここで設定した目標と進捗状況、年度末実績と評価内容を1枚のシートで完結できる書き方にします。
左(または上)から、「目標」「行動指針」「半期結果」「修正行動指針」「年度末実績」「自己評価」「人事評価」という具合です。これらを「目標達成度」と「能力評価」の2項目ごとに表記し、年度末の人事評価とすれば把握しやすくなります。
目標数値は達成率を判断基準に
まず、目標達成度についてですが、先述の通り「立てた目標を安易に変更しない」ことが原則です。「今年は好景気だったから途中で目標を2倍にしよう」「やっぱり彼には荷が重すぎた。やる気がなくなる前に目標を下げよう」というのは、意欲喪失の素となります。
月次目標の調整はあるでしょうが、人事評価においては目標の変更は安易に行うべきではありません。目標を立てる際は、月ごと、週ごと、日ごとの数字に落とし込み、時期要因や人員配置、能力を考慮して細かく分析することです。
そして、評価する人物が出し得る結果の少し上を設定するのがセオリーです。ただし、この人物評価に使用するシートでは細かい数字はひつようありません。記載すべきは「今年度の目標数値」のみで結構です。その数値をどう達成させるのか、それをその人物に考えさせるようにしましょう。
そして、目標に対する年度末実績には達成率を記載し、その目標に対しての実績値が明確に出るようにします。その達成率が判断基準となります。ここで記載する一般的な項目としては「目標金額」「目標件数」などです。
金額を発生させない職種であれば、生産数量や完成件数、誤差数値などでも構いません。ここで評価するのは「数字」に対しての「達成率」ですので、その結果が一目瞭然となる目標数値を記載しましょう。
能力評価は行動結果を判断基準に
次に能力評価ですが、能力評価で必要なのは「その人物の職域の中で、どの程度の能力を発揮したか」です。例えば、営業なら「新規契約を年間20件取る」「1000万円ベースの契約を昨年より5件増加させる」など、内勤業務なら「伝票入力を1日1000枚以上する」「◯◯の処理を5時間で完了させられるようにする」、
管理職なら「各自毎月予算を完全達成させる」「粗利率を昨年対比で110%にする」などがあります。会社は売上を上げ、利益を捻出するために稼働しています。それが直接的に結びついているのが目標数値であるなら、能力評価は「その目標数値を達成させるために何を行ったか」という間接的な要素に対する評価となります。
職種や職域によって異なる内容になるでしょうが、それをできるだけ明確に、具体的に記載させ、実際に行動した結果がどうだったかという点を評価材料としましょう。ここで記載する一般的な項目としては「目標達成のための行動指針」「人材育成のための行動指針」などです。
職域によって評価する能力は異なってきますが、行動指針に対する結果が評価できる書き方にしなければなりません。また、できるだけ数値で表現させるようにしましょう。その数値に対する結果が判断材料となり、その人物を評価する判断材料となるからです。
それ以外の項目も活用する
「目標達成度」と「能力評価」の2つに加え、「知識・常識」などの業務上必要となる能力を評価したり、部下にあたる社員からの評価シートを活用する企業も少なくありません。「知識・常識」に関しては、その業務内容により異なる面もありますが、「自己評価制度」と「社内試験制度」の2種類が大半です。
自己評価制度は、手間がかかりませんが人により自己評価に差が出るため信憑性に欠けます。一方、社内試験制度は、同一判断基準なので信憑性が高いですが、作成や採点に多大な手間がかかります。「知識・常識」項目を取り入れるのであれば、会社の規模や体制によってどちらを活用するか判断すると良いでしょう。
部下にあたる社員からの評価シートは、評価する人物の下に付く社員からの評価を詳細に記述させるシートをです。このシートは、評価する人物を経由せず直接人事に提出しますので、部下は上司の目を気にすることなく自由に評価させるようにしましょう。
この評価シートは、普段見えない業務のやり方が赤裸々にわかるというメリットがあります。このように、ベースの2項目以外の評価材料を活用することも、多角的な人事評価に役立ちます。個々人の能力向上の手助けになることもありますので、余裕があれば取り入れてみるのも良いでしょう。
人物評価シートは明瞭かつ簡潔に
以上が人物評価の書き方になりますが、人物評価を行う際に最も大切なことがあります。それは「評価は公正であること」です。人事評価者の好みで差をつけるようなことがあってはいけませんし、そのような評価をする会社には良い人材は絶対に定着しません。
こうした不公平な人事評価を避けるために「人事評価シート」が存在します。公正であるということは、誰の目から見ても適正に評価されるということです。適正に判断されているかどうかは、明瞭かつ簡潔な評価シートでなければならないということです。
人物評価シートに最低限必要な項目は「目標達成度」と「能力評価」です。この2点を明瞭かつ簡潔に評価できることを考えながら、作成するようにしてください。
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