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文章を書かなければならない場面というのは案外多いものです。報告の場かもしれませんし、主張の場かもしれませんし、ともすると誰かに手紙を書く場合、というのもあるかもしれません。どうしたら伝えたいことが伝わる文章になるか、書き方のコツをお教えします。
読む人を想定する
誰に向けて書くのか、今一度考えてみましょう。同じ手紙を書くのでも、堅苦しい上司に宛てたものか、気心の知れた旧友に送るのかで、全体の構成も、書き方の雰囲気も変わってきます。
手紙なら分かりやすいですが、ブログやfacebookなど、様々な種類の人が読む可能性がある場では対象を想定することが重要になってきます。かっちりと論理的に堅い文を書くのか、全体の雰囲気からくだけた文を書くのか、あるいは読む人は自分であるとして独り言のように書くのか、はっきりさせておきましょう。
文章全体の構造を決めておく
意外と見落としがちなのがこの点です。「このことを書かなければ」ということばかりが頭を占めてしまい、結局どこからどう書けばいいか分からない、そんな経験があなたにもあるのではないでしょうか。
まずは書くべきことを整理してみましょう。何を主眼に置くのかを決めたら、どうしたらそこにたどり着くのか、大まかなあらすじを決めておきます。頭の中に入れたままでもよいのですが、メモなどに書き留めておいて全体を俯瞰できるようにしておくと、書いている最中に目的を見失うこともありません。
テンポ良く書く
読んでいて頭に入ってこない目の滑る文や、読んでいてもどかしい文の多くは、テンポが悪いことが原因です。例文を挙げてみましょう。
「私が小学一年生の時はまだまだわんぱくだったので花壇の草をちぎったり友だちと砂場で遊んで泥だらけになったりして親によく怒られたものだったが私はちっとも反省することがなかったため相当扱いにくい子供だと思われていたはずだ」
この文には句点や読点が一切ありません。これは極端な例ですが、それでも句点読点が少なく冗長に長くなってしまっているものは多いものです。
「私が小学一年生の時は、まだまだわんぱくだった。花壇の草をちぎったり、友だちと砂場で遊んで、泥だらけになったりした。そのため、親によく怒られたものだった。しかし、私はちっとも反省することがなかった。だから相当、扱いにくい子供だ、と思われていたはずだ」
逆に句読点を多くしても読みづらくなります。よく一文一文をシンプルにしている人を見かけますが、それはそれで短すぎてテンポが悪くなりがちです。
「私が小学一年生の時は、まだまだわんぱくだったので花壇の草を千切ったり友だちと砂場で遊んで泥だらけになったりして、親によく怒られたものだった。しかし私はちっとも反省することがなかったため、相当扱いにくい子供だと思われていたはずだ」
適度に読点が入ったように見えますが、実際読んでみると非常に突っかかりがあり読みにくいものになっています。読点を入れれば読みやすくなるというわけではなく、言葉そのものの調子や言い回しを気にしつつ、歯切れのいい文になるよう心掛けなければなりません。
そのために私がお勧めしているのは、心の中で自分の言葉を音読しながらリズムをとって文章を書くことです。声を出して読むことを想像することでリズム感が生まれ、自分が使っている言葉が文の中で浮いていないかや、流れがたどたどしくなっていないかが分かりやすくなります。
そうして訂正した例文が下のようになります。
「私が小学一年生の時はまだまだわんぱくだったので、花壇の草をちぎったり、友達と砂場で遊んで泥だらけになったりして親によく怒られたものだった。だが私はちっとも反省の色を見せなかったため、相当扱いにくい子供だと思われていたはずだ」
一度気分転換して読み返す
このようにして書き上げた文であっても、すぐに採用するのはあまり得策ではありません。というのも、個々の文を積み上げてきたために全体として読んでみたときに整っている保証はありませんし、読み上げたその場で読み返してみても、一文一文の確認になりがちだからです。
脱稿した後で後悔することがないよう、一度気分転換をしてから読み返しましょう。時間に余裕があれば一晩寝かせてもよいのですが、そんな余裕がないというときは少しデスクの周りを歩いたり、コーヒーを飲んだりして一度文章から意識を逸らします。そうしてもう一度読み返し、全体としてまとまった文章になっているか、伝わりたいことは伝わるかを確かめましょう。
この時も、心の中で音読し、リズムをとりながら読むことをお勧めします。一朝一夕で伝わりやすい文章や魅力的な文章を書くことができるようになるわけではありません。自分でいい文章が書けたと思っても、読み返してみるとそうでもなかったり、他の人の書いた文章に驚いたりするものです。これらの書き方のコツを参考にしつつ、自分なりの書き方を探ってみてください。