「略儀ながら」の意味と例文と書き方
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ビジネス文書や手紙などにおいて、意味があまりわかっていなくてもついつい書いてしまう定型文や語句があります。これらはきちんとした使い方をすると、先方への礼儀も十分に伝わりますので非常に便利ですが、使い方を誤ってしまうと、逆に例文を引用して自分の気持ちのこもってない文章と認識されてしまいます。
そのため、普段何気なく使用している語句であっても、実際に自分が文書の中に取り入れる場合には、正しい意味や使い方、類似語などとの違いについてきちんと調べたうえで使うことをおすすめします。
そうすることで、時候の挨拶や最後の言葉のみが美辞麗句でつづられており、本文はいたってシンプルで敬語も正しく使えないといった見苦しい文書を作成せずに済むようになります。
ビジネス文書の場合には
日常的に使用している書面の一部を差し替えて作成することが多いですし、目上の人への手紙なども、今では例文があちこちに掲載されてますので、それらを参考にして簡単に立派な文書を作成することができます。
しかし、こういった使いまわしを繰り返していると、やがて自分で一からビジネス文書や手紙を書かなければならなくなったとき、全く筆が進まないことにもなりかねませんので、最初のうちはとにかく常用する言葉や文章について詳しく調べながら書く習慣を身につけましょう。
ビジネス文書でも個人あての手紙でも、よく使われる言葉の一つに「略儀ながら」という言い回しがあります。略儀という言葉は普段あまり耳にすることはありませんが、略式の儀ということで、儀礼や作法を簡略にしていたり、一部省略しているという意味になります。
したがって、この言葉は「略式ではございますが」という意味になっています。会話で使うことはほとんどありませんが、手紙やメールなどではよく目にすることがあるでしょう。
どういったことが略儀かというと
相手から品物や支援、指示などを受けたときのお礼、または挨拶をするときなど、本来ならば直接出向いて、相手の目を見てきちんとお礼を伝えたり挨拶をするべきところを、とりあえず簡略的に書面のみでお礼やご挨拶をいたしますという意味合いで使われています。
この文書を出した後で、機会があれば直接出向いてお礼や挨拶をしてももちろんかまいません。こういったことはできるだけ早く行った方がよいため、いずれ出向く予定であっても取り急ぎ書面で内容を伝えるほうが相手も安心するものです。
一方で、書面を出しただけで、その後相手方に出向いて直接会ったうえでお礼や挨拶をする予定がないという人もたくさんいます。遠方の取引先や知人などの場合には、直接会って伝えたい場合でも、時間などの都合でなかなか実現できません。
このような場合であっても、伝統的な慣用句として使われていますので、この言葉で直接会いに伺えないことを謝ることができる、便利な言葉です。この言葉だけで使われることもありますし、「本来ならば直接お会いしてお礼を申し上げるべきところ」などの言葉を一緒に用いることもあります。
また、お礼や挨拶以外にも
事務所移転の通知や転勤のお知らせなども兼ねていることがあります。いろいろな場面で使うことのできる言葉ですので、前後の文章のつながりと上手に組み合わせて使うようにするとよいでしょう。
この言葉を用いた例文としては、「拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。さて、先日は大変すばらしいお品を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。おかげさまで、大変快適に使わせていただいております。
本来でしたら直接お会いしてお礼を申し上げるべきところ、略儀ながら書中をもって御礼申し上げます。ご家族の皆様方のご多幸とご健康をお祈り申し上げます。敬具」といった漢字の書き方になります。
挨拶の場合には
「略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます」といった言い回しが使われていますし、挨拶とお礼を同時に伝えたいという場合には、「略儀ながら御礼かたがたご挨拶申し上げます」のように書くことができます。
これは定型文としての挨拶やお礼になりますので、できれば本文中に実際に受け取った品物の感想などを書き加えておくと、贈った側も相手が本当に喜んでいるというのが伝わりますのでうれしく思われるでしょう。
なお、直接会って書面を手渡す場合などもありますが、このときには当然この言葉は避けたほうが無難です。この言葉には、正式に面会して挨拶やお礼をするという工程を省くという意味合いが込められていますので、挨拶の時にお礼状を渡すといった場合には、この言葉ではなく、実際に受けた支援や品物のお礼、感想などを書くことで事足ります。
どのような言葉や定型文でも同じですが、その場の状況に合わせた使い方をすることで、より一層礼を尽くして心のこもった文書を作成することができますので、例文だけでなく意味や使い方もよく調べましょう。