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昇格論文とそのテーマ
昇格論文とは、企業などの中で昇任選考のために用いられ、その際に提出を求められるものです。合格する昇格論文は、論理的な思考と簡潔明瞭な表現といったものが要求されます。また職務に対応している問題意識が、ここに確認できることが重要なポイントとなります。
この論文の書き方を学ぶことが、昇任したのちの職務を遂行する上でも大変役立つことから、昇格試験には昇格論文が採用されている企業が多く存在しています。まずテーマの選び方ですが、合格後の立場や役職に適した内容であることが必要です。
たとえば主任や係長といった役職への昇格選考のための論文であるにもかかわらず、一般職の視点からの考察に基づいて書かれてものであると、それは不的確な内容ということになります。管理職選考で係長のレベルにしか達していない書き方も、ネガティブ要素です。
この点を踏まえたテーマを決め、下準備を始めます。テーマが提示されている場合には、それに必要な情報を集め、もしテーマがわからない場合には、過去のテーマや課題を調べ、あらかじめ予想を立てて資料集めを行います。全くテーマも課題も提示されない場合には、
今、社会や会社が直面している問題について、昇格後の立場からいかに対応するのかといった観点から情報を集めます。それについて考察し、自分自身の考え方をまとめておきましょう。これが「準備」となります。この時に、「会社」が何を求めているのか、これを把握していくことも重要です。
会社が昇格させたい人物がどのようなものであるのかといったことの分析です。会社が求めている人物像にマッチすれば、「この人物こそ会社の発展に役立つ」といった印象を与えます。昇格させるべきだと感じてもらえるでしょう。この点を考えることで、昇格論文の書き方は、おのずと変わってきます。
昇格論文で用いる論理的思考の検証
論文には、ロジカルシンギングが必要とされます。論文の書き方は「目的」「対象」「方法」「結果」「考察」「結語」によって構成され、「自分の考え」を立証します。昇格論文では、必ずしもこれだけの項目を網羅する必要がない場合もありますが、おおよその流れは同様です。
自分が何について考察するのかのテーマを明らかにし、それに対する自分の考えを結論付けます。そしてそれに対するアンチテーゼを含めて考察と検証を行い、データを示しながら最終的に「ゆえに」と先の結論の優位性や正当性を導き出して「結果」とします。
本文は、自分の考えを仮説とした「考察」「検証」と導き出される「結果」の部分になります。この構築方法として「三段法」を用いて表すのがポピュラーです。三段法とは、論理的推論の中の一つの形式です。「大前提」「小前提」「結論」の3つを命題とします。
必ずしも3段階であるとは限らず、言語依拠段階的推論法と言い換えることもできます。「結論」が正しいものとするためには、同一律、無矛盾律、排中律、充足理由律といった論理の法則が守られた上で、「前提」が正しいことが必要です。昇格論文ではこの前提に一般的もしくは普遍的な前提を用い、
ここから自分のオリジナルな結論の正しさに導くことが多く、これは演繹を三段法によって導き出すことです。前提を認めるなら絶対的必然的に結論は正しいということになります。たとえば、「人は必ず死ぬ」を大前提とすれば、「私は人である」が小前提です。
それによって「私は必ず死ぬ」の結論が導き出されます。もし前提が間違い、もしくは不適切であれば誤った結論が導き出されることになり、ここに論文を書く側のセンスが問われます。また背理法も良く用いられます。ある命題に対して、この正しさを証明する時、これが間違いであると仮定します。
するとそこから矛盾が生じ、「命題を間違いと仮定することが間違いである」ということになり、命題の正しさが結論付けられるという方法です。自分の結論をまずは「間違っている」としたところから入る方法ですが、これを「否定の導入」と呼びます。
簡単なことでは、「市場は機能性だけを求めるわけではなく、かわいらしさや個性的であることも求めている市場もある」と結論付けている時に、わざと「市場は機能性だけを至上としている」と仮定します。すると世の中に見られるファンシーグッズが作り出すブームなどの説明ができなくなります。
「市場は機能性だけを至上としている」の前提の「偽」が露呈されることとなります。ゆえに、「市場は機能性だけを求めるわけではなく、かわいらしさや個性的であることも求めている市場もある」ということの正しさが導き出されます。実際にはここに論理を担保するデータなどが必要となり、
ここまで簡単な問題ではないのですが、おおよその流れとしてはこのようなものです。これが自分の考えに対する「検証」の部分になります。「検証」の正しさがあって、自分が論文の中で表す内容の信憑性や信頼性が担保されることになります。
論理的であることの必要性
なぜこのようにロジカルシンギングとクリティカルシンキングが求められるのかといえば、常に読み手は「批判的視点」を持って読んでいるからです。非現実的で妄想に終わらない「結論」であるためには、「検証されたものである」ということが必要です。
それによって「反駁」できる論文が構成されます。昇格論文の場合は、昇格した際に所属する組織が抱える問題や課題について、昇格後の立場で解決策を論じるといった論文になりますが、この問題や課題を客観的に分析し、その根底にある物の洗い出しを行います。
それを誰もがわかる形で提示し、自分が提案する解決策が現実的なものであることを指し示すには、論理的な思考が不可欠です。誰にでも理解できるように伝える上で、論理的に話をすることで、相手の理解を得ることができるのです。昇格論文に合格することで、部下を持つ身となることもあれば、それ以上の管理職に就くことになります。
相手との共通認識を持つためには、「誤解しようのない伝え方」でなくてはなりません。また「主張」は「盤石」であることも必要です。そこには「情緒性」といったものではない、「論理性」が不可欠要素となります。昇格論文は「現時点でそのレベルの達しているのか」といったことを見ると同時に、その訓練を与える場でもあるのです。