書き方を定式的に学ばない日本の文化

日本の教育課程においては実は文章の書き方について体系的に教わる機会がありません。小学校の頃から読書感想文や社会科見学の作文など、文章を書く機会には恵まれており、大学生になってもレポートや小論文を書くことが頻繁にあります。

 

しかし、その一般的な書き方を授業で教えるということはなく、実経験を通して書き方を学んでいくという形式がとられています。

 

この方式は欧米とは対照的です。

欧米ではライティングの授業が重視されており、ビジネスライティング、アカデミックライティングといた授業が当然のようにカリキュラムに組み込まれています。日本人に比べて欧米人が論理的に物事を説明するということがしばしば言われるのはこういった教育の成果とも言えます。

 

ある事象があって、その理由を説明するという構成が常識的になるようにライティングの教育を幼いうちから受けてきているのが欧米人なのです。それに対して日本では試行錯誤によって書き方を学んでいるため、個人によってもその時々の先生や指導者によっても左右され、独特の書き方を個人個人がもつようになります。

 

基本的には普段から行っている物事の考え方や順序立て方が反映されるため、欧米的な論理的思考をする人もいれば、日本的な思考の順序になる人もいるという状況が出来上がっているのです。

 

欧米的な方法によってライティングについて学ぶようにするメリットは、意思疎通が容易になるということです。文章といえばこういう順序立てて書かれているものだという前提のもとに文章を読むことができるため、誰がどんな文章を書いても皆にわかりやすい組み立てになっているからです。

 

しかし、あまりに一様化しているため

文体による個性が多かれ少なかれ失われてしまっているという側面は否定できません。一方で、日本のように文章の書き方を一様に教えない場合には、個人によって文章に癖があり、人によってはとても理解しがたい文章を書く場合があります。

 

そのため、書いた本人にはわかりやすくても他の人にはとてもわかりにくい文章というのが散見されるというデメリットがあります。しかし、表現の方法にも構成にも束縛がかかっていないので自由と多様性に富む文章が多く生まれてくることになります。

 

結果として、技巧に富んだ文章を書く人が生まれたり、優秀な小説家が出現したりすることにつながっている可能性が高いでしょう。このように、束縛を受けない文章を書けるという環境にあるのが日本であり、ライティングを定型化することを重視した欧米とは異なる文化があります。

 

あらゆることの欧米化が進む今日ではあるものの、日本の独自性として認識されてしかるべき点であるといえるでしょう。

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