「いささか」の意味と例文と書き方

日本語で用いる文章表現には、非常に多くの種類のものがあり、同じ意味を示す言葉でも、使用するシーンや相手、また自分の立場や相手との親密度など、多くの要素によって使用される言葉を選ぶ必要があります。

 

これは文章における文語体だけでなく

日常の会話で使用する口語体においても同様で、言葉の使い所を間違えると、相手に対し失礼に当たることになってしまったり、自らの立場を悪くしたり、言葉の使い方を理解していないという判断をなされてしまう原因にもなってしまいます。

 

こうした意味が同じながら異なった言葉を用いるというものは、物事を修飾する言葉や、物の量や嵩、度合いを示す言葉に多く見られるものとなっています。その中でも、少し、あるいは少量を示す言葉には、実に多くの物があり、「わずか」、「若干」といったものの他、「猫の額」や、「雀の涙」など、例えを用いて表すこともあります。

 

そうした中で、「いささか」という言葉も、同様に少し、あるいは少量といった状態を表すもので、言葉の由来自体は非常に古く、万葉仮名の時代から用いられてきた言葉として知られています。

 

そうした古い歴史を持ちながらも、現代で使用する機会は多く、この言葉を聞いて意味がピンと来ないという人はそう多くはありません。少ない、

 

少しという状態を表すことは、日常会話の他、メールや手紙、またはレポートなどの書類上でも非常に多く使用するものですが、会話で使用する口語表現では、あまりこのような固い印象のある言葉を使用することは多くありません。

 

また、レポートや報告書などで少ない状態を表現する際には、明確な数値で示したり、比較対象をはっきりとさせるなど、相対的に少ない状態を表す表現が適しています。

 

そのため、この「いささか」という言葉は、他の少ない状態を表す言葉に比べ、使用するシーンが比較的限られていると言えます。「いささか」を用いた例文としては、「朝から歩き通しで、いささか疲れました。」や、「いささか変だとは思いませんか。」といったように単純に少ない、少しという事を表すだけでなく、感情や詩的な表現を多少なりとも含んでいる印象を受けるものとなります。

 

また、「今回の作品には、いささか自信があります。」といった表現では、消極的な印象よりも、謙遜しつつも自信がある程度あるという印象を含んで表現することができています。

 

これ以外に、「その表情にはいささかの動揺も見られなかった。」という用い方では、やはり文語的な印象を強く持たせる言葉として使用されています。

 

単純に状態を表しているだけでなく

少し、少量という言葉自体を修飾しているニュアンスも含んでおり、より深い意味を感じさせる表現として利用することができます。

 

また、比較的特殊な用法としては、「あの方のかたくなな態度には、いささかならず困惑しました。」といった使い方です。これは、少なからずと同様に、実際には大いに、大変といった逆の意味を示す言葉で、この言葉を用いる事で、少なからず、あるいはすごくといった表現に比べ若干の柔らかさを持つ印象にすることができます。

 

こうした文章において

少し、少ないといった直接的な状態を表す言葉を使用すると、単純に状態を表すだけにとどまってしまい、書き手の表現したいニュアンスを含ませることが難しくなります。

 

しかし、この言葉を日常的な会話で使用すると、回りくどい印象になってしまい、特に親しい間柄の会話では、相手に違和感や疎遠な印象を与えることにもなりかねません。

 

また、少し気取った印象も含んでしまうため

人によっては多少の不快感を示すこともあります。また、ビジネスメールや報告書、レポートといった文章で使用する際には、あまりに詩的なニュアンスを含んでしまい、またどの程度少ない状態なのか、曖昧な表現にも取られてしまいます。

 

そのため、状態を正確に示す必要がある時や、数値を用いて比較を示すという時には、この言葉を使用するのはあまり適していません。どちらかというと、小説や随筆といった、文章自体に表現を含む目的がある際に、文章の印象を柔らかくしたり、また多くのニュアンスを含ませることが可能となります。

 

手紙などで使用するのにも適しており、直接的な表現を用いて素っ気ない文章になるのを防ぐことができます。

 

丁寧な手紙や長い手紙を書く際には、こうした感情などを含ませやすい言葉を使用することで、より心境や状況を印象づけやすくなり、また文章も堅苦しくなり過ぎないため、読んでいて読みやすい文章にすることができます。

 

しかし、比較的若い世代が好んで使用する言葉とも言えないため、メールなどどちらかと言えば口語に近い文章に用いるのも違和感を感じやすくなり、またどうしても回りくどさが先に出てしまうため、あまりに多用する言葉でもありません。しかし、うまく使えば知的かつ豊かな文章に仕上げることが出来るものと言えます。

 

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