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日本人はなにか助けてもらった時には「ありがとうございます。」と手を合わせたり、お礼をします。悪いことをしてしまった時には「ごめんね」と謝ります。
欧米人ならハグをしたり肩を組んで踊ったりしてアクションも伴いますが、日本人はそこまで感情表現ができません。しかしお礼に、お詫びにと言葉では言い尽くせなかったことを手紙に書いたり、何か品物を渡すことが良く行われています。
言葉ではうまく伝えられないことが手紙ならうまく伝えられるということもあるでしょう。またなにか品物を渡して喜んでもらえたら、気持ちが落ち着く、気持ちが楽になるということもあるでしょう。そして何か喜んでもらえそうな品物を買って渡すときも、日本人は「心ばかりの品物です。」などと謙遜をして渡します。
結婚祝いや出産祝いなどの祝い事で贈り物をするときも
「心ばかりの贈り物です。」などという言い方をすることが多いです。直接会って渡すことができない時、手紙を添えて送るときにも、お祝いのメッセージにそのような言葉がかかれていることでしょう。
ではその「心ばかり」とはどのような意味なのでしょうか。漢字では「心許り」と書くのですが、「気持ちの一端を表しただけ」「大したものではないのですが、少し気持ちを表したものです。」という意味で使われています。
「心ばかり」はお祝い事やプレゼントなどの贈り物に良くつかわれる言葉です。相手様のお祝いごとに対して、お祝いの言葉やメッセージにプラスして贈り物を贈ることでお祝いの気持ちを表現するのですが、その贈り物は「ほんの気持ちです」「大したものではないですが」と謙遜して「心ばかり」という言葉を付けているのです。ではその言葉をどのように使うのでしょうか。
「心ばかりの品物で恐縮ですが、どうぞ皆様でお召し上がりください」「心ばかりの品物でお恥ずかしい限りですが、なにとぞご笑納ください。」「心許りの品物ですので、ご遠慮なくお納めください。」などという使い方をします。
それでも実際は相手のことを考えて選ばれた品物なので
相手様には充分気持ちが伝わるものです。また相手様が遠慮をしないようにあえてそのように伝える日本人のやさしさも込められています。このように日本人は自分をへりくだることで相手様のことを尊重するという、独特の言葉や言葉の使い方があります。
「心ばかりのもの」という言葉と同じような言葉に「つまらないものですが」といういい方もあります。「つまらないものですが」という言葉もその品桃に対する謙遜の意味を込めて使うのですが、お礼やお詫びの意味を込めて何か品物を渡すときには使っても、祝い事などの贈り物やプレゼントには「つまらないものですが」という言葉はあまりふさわしくありません。
なぜなら「お祝いのプレゼントにつまらないものならいらない」という感情を持たれてしまうからです。「つまらないものですが」も本来は「一生懸命選びましたが、あなたの前ではつまらないものに見えるかもしれません。」という謙遜の言葉なのです。
しかし現在は「一生懸命選びましたが」とはなかなか付けずに「つまらないものですが」とだけ言ってしまうと相手にはあまりよい印象ではなくなってしまいます。
かといって親しい間柄で好みを良く知ってもらっている人以外から、謙遜もせずに、「絶対に気に入ってもらえる品物だから受け取ってください」などといって渡してもらったり、手紙に書かれてあったとすれば、少し強引なイメージもあります。
だからやはり美しい日本人のいい方としては
「心ばかりの品物です」といういい方がふさわしいでしょう。「つまらないものを渡すわけにはいかないけれど、絶対に気に入ってもらえるかもわからない、けれどあなたのことを考え気持ちを込めて選びました。」という気持ちが伝わってくる言葉です。
このような美しい言葉が日本にはあるのです。自分のことを伝えるときには謙遜語、相手を敬って建てるときには尊敬語を使います。だから自分が持ってきた品物や、自分が造ってもてなす料理、自分が行うことに対しては謙遜し、受け取ってください、食べてくださいなどと相手のことを言うときには敬語を使います。
文章にするときには「心ばかりの物で恐縮ですが、どうぞお納めください。」と言う形になります。しかし現在の日本人は謙遜語や尊敬語などの敬語をあまり上手に使うことができない人がたくさんいます。
ふとした会話の中では
目上の人と話すときも間違ってつかったり、使えなかったりしてしまう敬語でも、手紙に書くときにはゆっくり考えたり調べたりして書くことができるので、その時に正しい敬語を少しは身に付けることができるのです。
そのような機会を作るためにも、メールばかりするのではなく、たまには手紙を書いて敬語の使い方を勉強してみるのもよいでしょう。
目上の人に敬語を使うときに、間違った使い方をするならまだしも、敬語を使うことさえできないと目上の方から「生意気だ」と敬遠される可能性があります。敬語をきちんと使えることで、人間関係の広がっていくのです。