「取り急ぎ」の意味と例文と書き方

文章作成能力がビジネススキルとして注目されるようになっています。電子メールでのやりとりを行う機会が増えたことにより、スピーディーな情報共有が可能となりました。

 

その一方で、コミュニケーション不足が問題視されています。電子メールはとても便利なツールですが、文章作成能力が伴わないと、真意が伝わらなかったり、場合によっては大変に失礼な印象を与えてしまったりするリスクが高いと考えられています。

 

特に中高年以上の方々に送る電子メールは注意が必要です。

敬語の使い方や、ビジネスマナーを若い頃から意識して働いてきた世代の方々には、簡便な電子メールのやりとりが、単なる手抜きなビジネス手法に見えるときがあるからです。目上の方に送る電子メールは、通常のお手紙を出す時と同様な配慮が求められます。

 

一般的な言葉遣いに関する知識がなければ、正しいビジネスメールを送ることはできません。間違った日本語に関する書籍が毎年のように販売されているのは、それだけ正しい日本語の使い方に関して教育が行われていないことが要因です。

 

特に日本の学校教育ではビジネスマナーに関する日本語の使い方を全く教えてくれません。社会人となり、そのような指導ができる上司に巡り合えることができれば幸いですが、上司でも誤った日本語を使っているケースが散見されています。

 

難しい日本語の使い方としてよく取り上げられるのが「取り急ぎ」という表現です。「取り急ぎ」の意味や使い方を知らなければ、先方に大変不快な思いをさせてしまう恐れがありますので注意が必要です。主に用いられる場面は、お世話になった方へのお礼や、自身の転任などのご報告の電子メールです。

 

以下、例文。

 

【「取り急ぎ」を用いた例文】

件名 転職のご挨拶

 

○○株式会社

 

担当 □□ 様

 

厳冬の候、皆さまますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

 

さて、私事

 

この度10年間勤務してまいりました☆☆株式会社を12月31日をもって円満退職し、1月1日より、株式会社○○に入職いたしました。

 

☆☆株式会社在職中は一方ならぬご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。

 

□□様にはご迷惑をおかけしたこともあり、大変お世話になりました。

 

あらためて心中より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

株式会社○○では、これまでの経験を活かし、総合職として尽力する所存でございます。今後とも、変わらぬご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

本来であれば参上し、直接ご挨拶申し上げるところですが、取り急ぎ、略儀ながらメールにてご挨拶申し上げます。

 

株式会社○○ △△

 

以上、例文。

 

「取り急ぎ」という表現を用いる際には

いくつかのポイントがあります。そのポイントをおさえて文章に取り入れるように留意しましょう。一つ目のポイントは電子メールの緊急性です。本来、「取り急ぎ」は「取り敢えず」と同義とされています。急いでいるという状況を伝える表現です。

 

ただし、昨今では「取り敢えず」という表現に緊急性が持たれなくなりました。「取り敢えず」は「一先ず」と同義に扱われているのです。そこで、「取り急ぎ」という表現を用いる人が増えているのです。

 

とはいえ、「取り急ぎ」には本当の緊急性はありません。そもそも本当に緊急性の高い連絡を電子メールで送ること自体が失礼に当たります。緊急性の高いメールを作成している時間があるのであれば、電話の一本の方が遥かに重要だからです。ですので、緊急性の高い案件に関しては、用いることは控えましょう。

 

「取り急ぎ」を用いるのは例文のような

緊急性の低い案件をお知らせする場合です。緊急度は高くなくても、多くの方に早くお知らせしたい案件というケースはよくあると思われます。その際に一言添えるという心持で使うのがスマートな表現法と言えます。

 

その際にも、電子メールでお知らせすることが、本来は好ましくない旨をお伝えすることもマナーの一つです。本当は直接伝えるべき事項ですが、それが叶わないので「取り急ぎ」お伝えしているという使用法です。

 

転任や転職のようなケースはもちろんのこと、お世話になった方へのお礼の連絡などでは用いても問題はありません。分かりやすく分別すれば、相手方に返事を求めない連絡には用いても失礼にあたらないと言えます。

 

ビジネスメールの結語に何でもかんでも使用する人がいますが、それはタブーです。ポイントとしてはなるべく使用頻度を減らすべき表現法であることを知っておきましょう。

 

あまり乱発すると、そんなに忙しいのかと先方に不信感を与えてしまうことがあります。常に急いでいるという情報の伝え方は、受け取る側にはあまり気持ちの良いものではありません。

 

どんなに急いでいたとしても、「先ずはご連絡まで」とか、「お返事をお待ち申し上げます」などの表現を用いた方が先方の負担になることはないでしょう。

 

正しい日本語の使用は難しいものです。しかし、一つひとつの言葉の意味をしっかり理解し、相手との関係性を考えながら文章作成を行うことが肝要です。

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