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お布施といえば、葬儀や法事などで僧侶が読経したり戒名や法名を授けた後に渡す謝礼として金品を渡すことを誰もが想像しますが、本来は他人に対して財物などの施しをしたり、相手にとってご利益のある教えを説くことなどを意味します。
お布施がもつ本来の意味
お布施といえば、葬儀や法事などで僧侶が読経したり戒名や法名を授けた後に渡す謝礼として金品を渡すことを誰もが想像しますが、本来は他人に対して財物などの施しをしたり、相手にとってご利益のある教えを説くことなどを意味します。また布施には、金品や衣服そして食料を施す財施、仏教の教えを説く法施そして災害などに遭遇した人に癒しや慰めを与えて恐怖心を取り除く無畏施などがあります。
お布施だけでなく病気や災害時におけるお見舞いについても広い意味でのお布施であり、仏教における六波羅蜜のひとつであり重要とされる実践でもあります。こうした元来の意味からもわかるとおり、お布施は読経や戒名への対価ではなく、あくまで僧侶への謝礼であり、寺院に鎮座する本尊へのお供えという考え方をとります。
ちなみに、遺族および故人を弔う人に対する弔事のマナーと、僧侶に対するお布施のマナーは別のものと考えておく必要があります。昨今では葬儀のあるべきスタイルも変化し、無宗教による友人葬や家族葬を執り行う遺族が増えてきたものの、日本においてはまだまだ仏式の葬儀が主流であり、
枕経や通夜そして告別式のみならず、四十九日や一周忌、三周忌などといった形で、僧侶とは長い付き合いになってきます。自分の代だけでなく自分の子ども達や孫までが世話になる可能性がありますので、僧侶に対してマナー知らずで失礼にあたらないよう、最低限のお布施にかんする知識を頭のなかに叩き込んでおきましょう。
宗旨や宗派によって違うお布施の金額
誰もが避けては通れない死。いかに身内が長期入院等で末期を迎え死を覚悟していても、死は誰にとっても突然に訪れます。日常生活では宗教を信じないといって初詣や寺院巡りをしないと豪語しているような人程、身内が亡くなったとき、自分の家の宗教は何なのか、檀家寺はあるのか、といった疑問や悩みに遭遇します。
しかしながら、どの宗旨や宗派で故人を弔うかで、その後の法事や僧侶へのお布施だけでなく、僧侶への付き合い方まで異なってきます。ちなみに、日本では信教の自由が憲法で保証されており、必ずしも親族が代々世話になっている宗旨や宗派に葬儀をお願いする義務はありませんし、
場合によっては自分の家の宗旨や宗派がわからず葬儀関連の業者がすすめる僧侶にお願いするケースもあるものの、やはり故人や遺族と縁のあった宗旨や宗派を確認することが大切です。気になるお布施の相場ですが、同じ宗旨や宗派であっても地域や戒名および法名によって包む金額が異なってきます。
僧侶によっては故人の檀家寺に対する貢献などを考慮して戒名や法名を授けるさい、その戒名や法名に応じた戒名へのお布施とする金額を伝えるケースがあります。たとえば、もし故人に最上級の戒名を授けてもらいたい気持ちから、故人が男性の場合は戒名に院号そして最後に大居士という三文字が並び、
故人が女性の場合は戒名に院号そして最後に大居士という清大姉という三文字が並ぶような戒名になれば100万円以上になります。加えて読経などにもお布施が必要となります。そのいっぽうで、浄土真宗系の宗派では、院号のない法名であれば法名に対する布施を求められることはなく、通夜や告別式などの読経や足代としてのお布施だけで済むといったケースもあります。
お布施の書き方と渡し方
香典などの表書きでは薄墨で書くのがマナーとなっていますが、お布施は僧侶に対して読経や戒名あるいは法名を授かったことへの御礼であるため、弔事のマナーとは切り離して考える必要があります。慶事さいに用意する祝儀袋の表書きのようにダイナミックで大きく書く必要はありませんが、わかりやすく丁寧な字であることがのぞまれます。
また字を書くのが苦手ということでパソコンやプリンターを使って印字するのは失礼にあたるので慎みましょう。次にお布施を渡す時の袋についてですが、弔事用のし袋ではなく、できるだけ白い封筒を使うことを心がけましょう。ちなみに関西では、黄白ののし袋が使われることもあります。
使用する封筒については、二重の封筒を使うと同じことが二度起こるという意味合いがあることから、一重の封筒を使うように心がけます。僧侶へ渡すときのマナーについては、手渡しせず、お盆や菓子折りの上に置き、僧侶に対して名前が見えるようにして差し出して受け取ってもらいます。そのさい、お車代や御膳料も同封しておくことはマナー違反ではありません。
もし渡すタイミングやマナーがわからない場合は、葬儀社のスタッフや年長者からアドバイスを受けるようにして、末永く僧侶と有効な関係を築くことが大事です。そして具体的な表書きの書き方についてですが、葬儀はもとより四十九日や一周忌などでも、黒字で御布施そして施主の苗字と書けば問題ありません。包むお札も香典とは異なり、できるだけ新札で用意することを心がけておきましょう。
御礼の気持ちであることを忘れずに
近年では、葬儀や納骨を執り行った後は経済的な理由や信仰への無関心から僧侶を呼ばなくなったり、代々続いていた墓の管理がままならず永代供養の共同墓地へと遺骨を移すといったケースが多くなり、僧侶に対するお布施への関心や意義も薄れつつあります。長らく付き合いのある檀家寺がある人なら当たり前と思っているようなことでも、
身近な人の死に直面し葬儀を執り行う過程ではじめて自分の家の宗教について考えた人にとっては、多くのことが当たり前ではありません。故人を弔う過程では心労が重くのしかかるだけでなく、さまざまな出費がかさみます。そのために、なかなか僧侶へのお布施まで気持ちが回らないことが多くあります。
近年では、葬儀にかかる費用を明瞭にすべしと考える人も多く、葬儀業者などでも宗旨や宗派別の相場を提示することにより、遺族への便宜をはかっているところは少なくありませんが、本来、お布施とは僧侶が読経や戒名あるいは法名を授けたことに対する御礼です。法外な御布施を要求したり、遺族側からの要望がないのに文字数の多い戒名を授けるといった僧侶ならば大いに問題視すべきです。
しかしながら、真摯な信仰心から真面目に読経し法話を授ける僧侶に対しては、やはり御礼の気持ちを形で表すことが大切です。僧侶とて家族があり生活を送っていくためには、檀信徒からの経済的な支援たる御布施は不可欠なものです。身近な人の死を通じて疎遠だった人との縁を感じるだけでなく、僧侶との出逢いをとおして命の尊さや信仰の大切さを知ることができることを、心にとどめておきましょう。