「所存」の意味と例文と書き方
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「所存」という表現は企業における取引先への挨拶など、ビジネス文書の中では良く使われる言葉です。しかし、その本来の意味を熟知して使用している人はどれだけいるのでしょう。
ビジネス文書の書き方などには文例として良く出てくるので、単に~するつもりですという意味の丁寧語くらいの感覚で使っている人も多いのではないでしょうか。
「所存」という表現は、本来は「思う」とか「考える」という言葉の謙譲語である「存ずる(ぞんずる)」という言葉が由来となっています。この「存ずる」という言葉を名詞的な言い方をすると「存ずるところ」となり、これを漢文表記にすると「所存」となります。
すなわち、「思う」とか「考える」といった意味の謙譲語の名詞形であり、謙譲語であることから自分の立場を下げ、相手に向かってへりくだっていう言い方です。へりくだった言葉遣いですから、大抵は目上の人に対して使うことになり、ビジネス文書に於いてはお客様、得意先などに対して使用することが多い表現です。
しかし、この言葉には実際には
本来と異なる意味を含ませて使用することが多いものです。ひとつには、へりくだって言う言い方なので、多くの場合には相手に対しての謝罪の気持ちを伝え、今後はこのようにする、したいといった思いとともに、このように考えているので許してほしい、理解してほしいと言う意味も含んでいることが多いものです。例えば、以下のような例文があります。
「今後も貴社のお役に立てますよう、システム開発に鋭意努力してまいる所存です。」これは今までずっと取引してきた相手に対して、今後も今まで同様取引を続けてほしいという「お願い」の意味を含めています。
これは、「~システム開発に鋭意努力してゆくつもりです」でも意味は十分に伝わりますが、だからなんだ、と言うような反応を示されてしまう危険もあります。謙譲語を使うことで相手に誠意を示し、自分の非を認めたうえでその気持ちを文章に込めることで、謝罪の意を強く表現しようとしているのです。
そして表現により、相手方に認められるといったケースも少なくありません。このように、明確に表現はしないけれど、深い意味をもたせるという事も、この表現の大きな特徴です。さらに、次の例文では、今後はこのように考えているので許してほしい、というニュアンスが含まれている例文です。
「今後は問題点の掘り起こしを怠らず、製品の完成度を高めていく所存です。」これは何か取引先に対して問題を発生させてしまったのでしょう。そしてその原因が自分たちのミスに有ることが分かったので、その謝罪の際に発した言葉です。
この場合には、今後はこのようにしていくので許してほしい
というニュアンスが含まれています。これには、強い決意を感じさせるニュアンスもあります。このように、所存という言葉にはその本来の、「思っています」という意味のほかに、相手に対しての謝罪や理解を乞う気持ちが含まれています。
その為、文章の中であまり多用すると非常に目障りな表現ともなりかねないので注意が必要です。例えば、自分たちの提案が何らかのトラブルの為に辞退しなければいけなくなったような場合の謝罪文において、「このような事故を二度と繰り返さないよう、安全管理に万全を期していく所存です。私どもと致しましては、この度のご提案はご辞退させていただく所存です。」というように繰り返して使用してしまうと、文章自体が非常に嫌味のある文章になってしまいます。
この際はどちらかを他の表現に変えた方が良いでしょう。
過剰な表現だとして、再度嫌われてしまう危険もあるからです。また、この表現を強い意志表示として使用する場合もあります。特に強い決意であることを打ち出すためにこの表現を利用する例文です。「これを機に、地域の皆さんとの協力関係を深め、より良い街づくりのために一層の努力をする所存です。」
この場合は、「~するつもりです」と表現した場合でもその意味は十分伝わります。また住民はそれほど高い地位ではないため、謙譲語を使用するほどにへりくだる必要もありません。
しかし、このような表現の方が誠意が伝わるという判断から敢えてこのような表現を使用している例です。この表現の方がより強く決心している、必ず実現させるという意思表示が強く伝わってきています。実際に、この表現はこのようなケースでは良く使用されている例です。
このように、「所存」という言葉には、一見簡単に使えるためにあいさつ文などでも簡単に記述してしまい、後でその文章を悪用されたりといったトラブルも多いものです。
たとえばこの表現を契約書の中で使用してしまったためにその強い意志を逆手に取られて損害賠償を訴えられたりする危険性もあります。
その為、単純に謙譲語だからといってすぐに使用するのではなく、その置かれた状況や相手がどの様にその言葉をとるのかという事を十分に予測した上で使用することが大切です。謙譲語は丁寧語とは全く異なり、複数の意味を含ませた使い方をすることも多いものです。