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誰もが一度は耳にしたことのある書類、念書。なんとなく理解しているつもりでも、正しい知識のある人は意外と少ないものです。相手に書かせておけば、いついかなるときも効力を発揮する書類と認識している人も多いようですが、そこには大きな誤解があります。
注意しなければならないのは、念書のみでは公正証書のような法的強制力がないということです。気休めでなく本当の意味で使いこなしたいとお考えならば、安易に活用する前に書類の特性と書き方を知っておくことが大切です。
なぜ法的効力がないのか
念書と公正証書。金銭トラブル防止や離婚・遺言の取り交わしなど同じようなシーンで登場するのに、両者の法的拘束力に違いが生じるのはどうしてでしょうか。実は念書と公正証書には、信頼性と証拠力に雲泥の差があるのです。公正証書は、全国300ヵ所の公証役場で公証人によって作成されたのち、役場内に保管されます。
途中で何者かによって偽造・改ざん・改変される恐れがないだけでなく、職員の手によって厳重に管理されていますから、安全性の観点からみても非常に安心感があります。一方の念書は、その名前からもお分かりのように、あくまでも「念のため」用意するものであって、平たく言うと当事者間だけの私的な取り決めです。
一方的に無理な条件をのませて書かせることも可能ですし、当事者のどちらかによる保管となればセキュリティ面でのリスクは避けられません。こうしたことから念書は公正証書のような説得力がなく、法的効力に乏しい書類といわざるを得ないのです。
存在価値としては、口約束以上、公正証書以下。裁判においても証拠の1つにはなり得ますがそれ以上でもそれ以下でもなく、判断材料の一端として扱われるにすぎないことを頭に入れておきましょう。
基本的な書き方の流れ
まず冒頭に「念書」と記して書きはじめます。その下に履行者の氏名と履行される者の氏名、場合によっては会社名や肩書など履行される者との関係について簡潔にまとめます。さらに履行の年月日と場所を記入し、続いて作成日と住所、最後に署名捺印を入れましょう。
証拠としての効力をもたせるには、履行者だけでなく履行される者の同意と捺印が必要です。それがないと、念書は一方的な約束事を記したただの紙きれ。メモや走り書きと同程度の証拠力になってしまいますので、裁判にまで発展する可能性のあるときは双方の署名捺印が必須と考えてください。
あまりだらだら書くと趣旨や内容が混沌として、第三者が見たときに伝わりにくくなります。また、感情に任せた主観的な文面は説得力に欠け、裁判での厳正な判断に支障をきたします。一読して誰に目にも明らかに読み取ることができるように、必要事項と要件を客観的な視点に立って事務的に記入しましょう。
書き終ったら、どちらかが一方的に不利な状況にならないためにも、コピーをとっておくことをおすすめします。本物は履行者が持ち、コピーを履行される者に渡しておくなどして、双方が納得のいくかたちで保管するとトラブル防止に役立ちます。
様式に決まりはあるのか
念書に最低限書いておかなければならないのは、タイトル・本文・署名捺印・日付です。この条件さえ満たしていれば、様式のみならず筆記具や用紙にすら特に決まりはありません。ただし、公の場に提出しても恥ずかしくないようにしておくことは大事です。
キャラクターものの便箋を使ったり、殴り書きのような汚い字を書いたりすると、裁判になったときに決まりが悪いかもしれません。用紙は無地の落ち着いたもの、文字色は黒の単色が好ましいでしょう。「!」や「?」などの記号の使用は避け、絵文字・顔文字も厳禁です。
あまりにも非常識なものだと、作成者の人柄や人間性に疑問を抱かれて心証が悪くなり、結局自分が損をするだけですので、誤字脱字のない丁寧な文面に仕上げます。書き損じたからといって修正液や塗りつぶしがあるとあまり印象が良くありません。
行間や文字のサイズはもちろん、パソコンで作成するときはフォントを適切にして、正確で読みやすい文章作成を心掛けてください。履歴書を書くときくらいの緊張感をもって取り組むとちょうどいいでしょう。
もっとも身近な契約書
念書には、こう書かなければならないという書き方の明確なルールがあるわけではありません。極端にいえば、チラシの裏に「ギャンブルを2度としません」「一生浮気をしないことを誓います」と書かせ、記名してはんこを押させただけでもそれらしくなるのです。
法的強制力を持たないだけに、書こうと思えば子どもでも書けてしまう手軽さですから、日常のちょっとした約束ごとにも応用できます。本格的に書きたいときには、インターネットのサイトにある無料テンプレートを上手に利用しましょう。ビジネス・日常生活・冠婚葬祭など、シーン別に分かりやすい例文がたくさん用意されていますので参考にしてみてください。
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