「ご心労」の意味と例文と書き方

「ご心労」は、その文字が示している通りに、心が労すること、即ち心配事があったり、或いは精神的疲労を受けたりしている状態を意味する言葉です。しかも、「心労」の前に「ご」という接頭語が付いているので、目上の人に対して使うことばです。

 

何故ならば、「ご心労」或いは「心労」というのは、心配や悩みといった言葉とほぼ同義ですが、これらの言葉に比べると畏まった表現だからです。従って、自分や家族、同僚、目下の人に対しては用いないのが一般的です。

 

特に話し手本人の心理状態を表現する言葉として用いると、大げさな表現となってしまいますので、用いることはありません。基本的には、書き言葉に用いることが多いのですが、目上の人に対して心配の情を表現する際には、会話の中でも用いる言葉です。

 

「ご心労」という言葉に続く言葉は

一般的には「お察しします。」等です。相手の心配や悩みなどを、手紙の書き手、或いは話し手である自分が相手のことを思い遣っていることを表現するため、相手の心労を察しているということを表現しているのです。

 

即ち、「ご心労、お察しします。」等と用います。手紙の書き出し分としても使えますし、会話の中で目上の人が自分の悩みや心配事を話された場合には、その返事として用いることもあります。

 

現在では、その字句から

「心を労する」と解釈され、自分に対して用いたり、自分と同格の人や目下の人に対して使うこともありますが、正しい使い方ではありません。「心労」という言葉には、相手を敬う意味が含まれています。即ち、敬うべき相手にしか使わないのが本来の使い方であり、そのため、目上の人の苦悩や心配などを表現する言葉として用いるのが正しい使い方なのです。

 

更に畏まった表現としては、「ご心労、いかばかりかとお察し申し上げます。」或いは、「さぞご心労のことと拝察申し上げます。」等の表現を用います。但し、このような使い方は、大変畏まった表現であり、一般的には会話の中で用いることはありません。

 

主には手紙などで用いる文語体となります。会話の中でここまで畏まった言葉を用いると、かえって奇妙に聞こえますし、場合によっては慇懃無礼な態度と取られることもありますので注意が必要です。

 

逆に、目上の人と言っても、あまり畏まる必要がなく、親しくお付き合いしている方の場合には、もっとくだけた表現を研売ることも可能です。例えば、「ご心労が絶えませんね。」等という表現を用いることも、相手が親しい間柄であれば、用いても問題はありません。

 

このくらいくだけた良い方ならば、自分と同格の相手に対しても用いることができます。言葉づかい一般の注意事項と同じく、相手に合わせて用いるべき文体や言葉を選ばなければならないということです。

 

心労は、心配していたり、悩みがあることなどを意味する言葉ですから、いわば心にストレスがかかった状態のことを指します。従って、相手は落ち込んでいたり、苦悩していたり、或いは怒っていることもあります。そのような状態の人に対して使う言葉ですから、用いる場合には注意が必要です。

 

不用意に「ご心労お察しします。」と言っても

「お前に何が分かる」と言われてしまうこともあります。特に目上の人に対していう場合には、失礼がないように気を付ける必要があるのです。

 

相手が自分の悩み事などを話してくれた場合には、その返事として用いることもできますが、相手が具体的には特に何も言っていないのに用いると、逆に反感を覚えられてしまうことにもなりかねません。

 

話している相手が、自分の近況を自ら話して、苦悩していることを打ち明けた場合に用いるべき言葉です。手紙で用いる場合も同様です。先方の状況を直接見聞きした場合に、手紙でも相手の苦悩を慮って用いるべきです。

 

相手が何も打ち明けていないのに、噂話や風聞などによって見聞きしたことで、手紙に「ご心労お察しします。」等と書いても、逆に失礼にあたることが多々あります。

 

どうして知っているのか

誰から聞いたのかと、逆に叱られてしまうこともありますし、実際にはその噂話などは正しくない場合もあります。直接相手から見聞きするか、或いは信頼できる人から話を聞いた場合以外は、用いるべき言葉ではありません。

 

しかし、実際に相手の苦悩を知った場合には、こちらの気持ちを伝えるために、はっきりということが大切です。この場合は、何も言わない方が失礼に当たります。自分も先方のことを心にかけている、思い遣っている、ということを伝えるために、会話や手紙の中で一言添えておくべきです。

 

「ご心労」という言葉は、相手を敬う意味が込められており、しかも相手の苦悩等を思い遣る言葉です。重要なのは、相手が苦悩している時に用いる言葉だということです。

 

そのため、きちんと状況を判断して、伝えるべき時にはきちんと伝えることが大切ですし、会話なのか手紙なのか、相手が自分にとってどのような人なのかを考慮して続く言葉を選び、用いることが重要です。

 

他の意味と例文の情報を知りたい方は、こちらもご覧ください。
タイトル:「心身ともに」の意味と例文と書き方
タイトル:「参ります」の意味と例文と書き方

健康保険扶養者(異動)届の書き方

健康保険扶養者(異動)届というのをご存知でしょうか。これはその名の通り、結婚や子供が生まれた時など健康保険の扶養者が変わる時に届出しなければいけないものです。 &nb...

餞別金 会社の書き方

会社で餞別金を贈る機会は意外と多いものです。例えば、同僚や部下、あるいは上司が転勤をする際には皆から集めたお金を渡すものですし、独立や定年で退職する方にも、同様にお金を包ん...

春の行書の書き方

春の行書の書き方ですが、普通の楷書は綺麗にかけるという人でも、なかなか行書は難しいですね。そして春という漢字は、左右対称の形をしています。   ...

大学のレポートの書き方

大学生が必ず数回、または数十回書かなければならないのが大学提出用のレポートであると言えます。自身が受けた授業に関するレポートを書かなければいけない場合もあれば、テーマそのも...

お年玉袋の書き方

お正月に子供や孫に渡すお年玉ですが、大人たちはあげるための現金の用意に追われてしまうことでしょう。お年玉をあげるための現金は新札が望ましく、年末になると銀行に行って新しいお...

縦書き封筒の書き方

手紙の宛名、差出人名は相手が初めて目にする場所です。楷書で丁寧に、読みやすい字で書いて、良い第一印象を与えましょう。封筒には縦書きと横書きがありますが、相手が目上の方や改ま...

農業確定申告の書き方

確定申告とは、税金に関して行う申告手続のことであり、個人の場合には1年間の収入・支出・掛かった医療費・寄付した金額・家族などの扶養状況から所得を計算し、税務署に申告書を提出...

花嫁の手紙(父親へ)の例文と書き方

人間関係を円滑にするためには、コミュニケーションを上手に取っていく必要があります。日本の文化として、言わなくてもわかってくれるだろうというところもありますが、実際のところ、人の気持...

「ご愛顧」の意味と例文と書き方

文章の基本的な使い方で、「ご愛顧」は、良く用いられる言葉ですので、理解をした上で適切に使うようにしましょう。   「ご愛顧」は、ご贔屓やお引き立てとほぼ同じ意...

上司に対するお詫びの書き方

個人的に上司を怒らせてしまった場合、どのようなお詫びすればよいものでしょうか?知っておくと良い詫び状の書き方をお知らせします。   1.詫び状と...

スポンサーリンク