建築設計の重要事項説明書の書き方

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建築において最低限度の基準を定めているのが建築基準法ですが、建築の設計を担う建築士と設計を業務とする建築士事務所のありかたについて定めた法律が建築士法です。

 

  1. 1.建築設計における重要事項説明書の意味
  2. 2.重要事項説明書の記載内容
  3. 3.報酬の額及び支払いの時期
  4. 4.契約の解除に関する事項

 


建築設計における重要事項説明書の意味

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建築において最低限度の基準を定めているのが建築基準法ですが、建築の設計を担う建築士と設計を業務とする建築士事務所のありかたについて定めた法律が建築士法です。この建築士法が平成20年11月28日に改正され、重要事項の説明及び重要事項説明書の交付についての規定が設けられました。

 

日本人は一般に契約の概念の理解が浅く、依頼者は契約せずに仕事を依頼し、受託者もはっきり受託を告げることなく仕事を引き受けます。その仕事が依頼者の期待する目的を達成した場合にのみ、受託者に報酬が支払われる慣例が一部にありました。この慣例は成功報酬の一種と考えられますが、物品や飲食を提供する業務では目に見える形で取引が行われるため、トラブルにはなりませんでした。

 

引き渡した物品に欠陥があった場合や、飲食品が腐っているなどの目に見える不良品が提供された場合にのみ、依頼者は報酬の支払いを拒否し、この場合は受託者も納得することが当然とされてきました。近代に入って、物品や飲食品など目に見える物の提供をせず、なんらかのサービスのみを提供する第3次産業が発達してきました。サービス業では仕事が形として残らない場合が多く、

 

仕事を行っても報酬が支払われないトラブルが発生しやすくなります。そのため医師や弁護士など多くのサービス業では、仕事の報酬に関して独自の法律を根拠にした基準を設け、トラブルを避けています。建築士と同じく国土交通省が管轄する宅地建物取引士においては、以前から重要事項説明と書面の提出を義務付け、報酬未払いを防止する対策を行ってきました。建築士においては遅ればせながら、この制度が確立する法的根拠ができたといえます。

 


重要事項説明書の記載内容

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建築士事務所は設計及び工事監理の契約を締結しようとする場合は、当該建築士事務所へ所属する建築士が、決められた内容の重要事項について建築主へ説明し、内容を記載した書面を交付することが義務付けられました。書面の書式は簡単なもので、書き方も難しくありません。書面は最初に建築主の氏名を記入し、

 

受託業務名称・建築士事務所の名称・所在地・建築士区分の別・開設者氏名を記入します。その後、7項目の記入事項があり、最後に説明をする建築士の氏名と、説明を受けた建築主の住所・氏名を記入し、日付を書いて押印し完成となります。記載7項目のうち、1項から5項までは自明な内容です。

 

1項は対象となる建築物の概要で、建設予定地・主要用途・工事種別・規模等を記入します。2項は作成する設計図書の種類で、意匠図・設備図・構造図・構造計算書・その他確認申請図書一式といった内容を記入します。3項は工事と設計図書との照合の方法及び工事監理の実施の状況に関する報告の方法で、現場立会い検査の時期と回数・工事監理報告書の提出について記入します。

 

4項は設計又は工事監理の一部を委託する場合の計画で、委託予定の有無・委託する業務の概要及び委託先を記入します。5項は設計又は工事監理に従事することになる建築士・建築設備士に関してで、従事者の詳細と建築士が構造設計一級建築士又は設備設計一級建築士である場合はその旨の記載が必要です。重要なのは、6項の報酬額及び支払いの時期と、7項の契約の解除に関する事項で、重要事項の説明と書面の交付が義務付けられる要因となった事柄に関する記載です。

 


報酬の額及び支払いの時期

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重要事項説明書の6項は報酬額及び支払いの時期を記入する項目です。一般社会において、行った仕事に対する報酬を請求するのは当然の権利で、依頼者は報酬を支払う義務があります。この当然のことが建築設計界では一部で認知されていませんでした。日本の建築業務は歴史的に設計と施工が独立していなく、同一組織で設計と施工の両方を行っていました。

 

大工の棟梁が設計を行うと共に、多くの職人を指揮して施工も行ってきました。これに対し欧米社会では、古くから設計は施工から分離され、建築設計という職能が確立し、建築家という独立した存在として認められてきました。当然、建築設計者の報酬も日本とは比べ物にならないほど高額な設計料が支払われてきました。

 

日本では現在も設計と施工が同一の建設会社等で行われ、一部で設計料を無料にし、設計を専業とする設計事務所との間で専業・兼業をめぐる対立を誘発する原因となっています。設計業務の対価として設計料を要求するのは当然のことで、契約前に交付される重要事項説明書に設計料が明確に記載されることは、

 

専業・兼業の別を問わず建築設計者の権利を建築主に周知し、組織内に設計業務の重要性をアピールする上で有意義なことです。建築設計の業務報酬基準は、建築士法第二十五条の規定に基づき定められ、推奨されている基準です。この基準に従って設計料を算出し、報酬の欄に実際の額を記入します。

 

この時、見積金額であることの明記と消費税に関しての記載、別途見積書を添付する旨と確認申請手数料を含まない旨の内容などを記入します。支払い時期は設計着手時・実施設計完了時・確認申請成立時・工事監理完了時などに分けた分割支払いの割合を記入します。

 


契約の解除に関する事項

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重要事項説明書の7項は契約の解除に関する事項を記入する項目です。契約の解除は日本人には理解しにくい概念の一つです。設計業務が独立した業務として一部で認められていない現状にあって、設計作業がなんらかの原因で途中で打ち切られた場合は、設計料を支払う必要はないと考えている人が多数派です。

 

また建築主の建設資金調達がうまく行かなかったり、建設会社との間で建設費の額が合意せず、建設計画が途中で打ち切られた場合は、設計料を支払わなくてよいと考える建築主も多く存在します。建築設計における重要事項説明書の記載項目の中に契約の解除に関する事項が盛り込まれているのは、

 

たとえ設計業務が途中の場合でも、或は設計が完了したのち実際の建設に至らなくても、設計料の支払い義務が生じることを、建築主に周知する目的もあります。このことは民法および商法において容易に解釈されることですが、建築主と建築設計者の間では契約解除時の設計料の支払いをめぐりトラブルになり、裁判まで持ち込まれる場合も多くあります。このことは建築主と設計者の双方の負担となるばかりか、社会的な損失も大きくなります。

 

契約の前に交付される重要事項説明書において、建築主が正当と認められる事由があるときは、建築主は建築士事務所が業務を完了する以前において書面を持って通知し、業務契約の解除をすることができる旨を合意に基づいて記入します。また、この契約解除により、今までの業務に対する対価の支払いは出来高払いを基本とする旨も明記しておきます。これにより設計途中での業務打ち切りの場合も報酬を支払わなければならないことを建築主に周知することができます。

 

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